抗生物質とは微生物を産生して他の微生物など生体細胞の増殖機能を阻害する働きがあり、細菌が増殖するのに必要な代謝経路に作用することで細菌にのみ選択的に毒性を示す。

抗生物質の働きとその効果について

抗生物質は、菌などの微生物の増殖や機能を阻害する作用を持つ物質の総称です。主に微生物が自分自身を守るために合成する物質を転用して活用していることが大半です。天然由来の抗生物質は5,000種類以上も存在していると言われています。また、最近では人為的に化学変化を加えた半合成抗生物質と呼ばれる種類の物質もあります。
これらの抗生物質は、その効果と働きによって分類することができ、大きく分けて以下の3つになります。
1つ目の作用系は、核酸合成阻害系です。この作用系に属する物質は、微生物が遺伝情報を複製して増殖する際に、その増殖機能を阻害して微生物が増えないように働きます。また、微生物のDNAから情報を読み取り有害物質を合成する際のRNA合成に関しても阻害する効果があるため、増殖と機能の双方の面で効果があります。
2つ目の作用系は、細胞壁合成阻害系です。その作用系に属する物質は、細胞膜の外側に位置する細胞壁の合成を阻害することで、細胞の増殖を抑える働きがあります。細胞壁は、植物や菌類、細菌類に見られる細胞外マトリクスの1つで、動物細胞には存在しないという特徴があります。そのため、人間が薬として服用しても人間の細胞にはほとんどダメージを与えること無く、微生物のみの増殖を抑えることが出来ます。
3つ目の作用系は、蛋白合成阻害系です。この作用系は、微生物のDNAからの情報を転写したRNAから、蛋白質を合成する際にその合成作用を阻害するため、微生物の生み出す有害物質の合成量が増えるのを抑制する働きがあります。
ただし、いずれの作用系に属する抗生物質も悪性の微生物のみを選択的に攻撃するわけではなく、無害な常在菌や有益な菌に対しても攻撃をしてしまうため、多用すると悪影響があります。